探偵業法によって厳しい規制が課されている興信所

一昔前までは、興信所や探偵事務所などに対する法律が無かったため、利用者と興信所との間で多くのトラブルが発生していました。ただ、利用者が興信所に依頼することというのはプライバシーに深く関わることが多くなっています。そのため、『騙された、話が違う』と思っても、近所に秘密の漏れることを恐れて、警察に訴えられずに泣き寝入りをする人が少なくありませんでした。

そんな理不尽なことを無くすために設立されたのが、「探偵業法」です。

●興信所におけるトラブルの事例

悪質な興信所との間で生じたトラブルとしては、以下などの事例があります。

・たった3日だけの調査で100万円を要求された。

・説明をしっかり受けていないのに契約を強要された。

・契約が終了したのに調査報告書をもらえなかった。

・調査の内容が依頼したこととは違っていた。

・契約書には記載されていない代金を請求された。

●探偵業法とは

探偵業法が設立された主な目的には以下のことが挙げられます。

・利用者のプライバシーと人権の保護

・悪質な興信所や調査の排除

上記の目的を実現させるために「届出制」を導入し、興信所や探偵事務所を開業する場合は公安委員会への届け出が義務付けられました。また、探偵業法では違法目的調査の禁止や守秘義務の明確化、契約の適正化、重要事項の説明責任、などの規定が設けられています。

なお、探偵業法では、興信所の業務を以下のことと定義しています。

『他人の依頼を受け、特定人の所在または行動についての情報を収集することを目的として、面接による聞き込みや尾行、張り込みなどによる調査を行い、その調査の結果を依頼者に報告する業務』

そして、適正な業務を徹底させるため、興信所に対する禁止事項として、以下のことが定められています。

1)各種法律に反する行為をしてはならない。

2)一般市民の生活の平穏を乱したり、個人の権利を侵害したりする行為をしてはならない。

3)業務上知りえた秘密は開業中、また廃業後であっても他人に漏らしてはならない。

4)他人に自社の名義を貸して興信所業務をさせてはならない。

探偵業法に違反すると、以下の罰則を科されます(左:行政罰、右:刑事罰)

・行政指導

・業務停止処分/1年以下の懲役、または100万円以下の罰金

・廃業処分/1年以下の懲役、または100万円以下の罰金

●興信所の義務

興信所は契約を締結する時点で、利用者に対して書面を交付し、その記載内容を説明しなければなりません。

義務化されている説明事項には以下などがあります。

・秘密の保持及び個人情報の保護

・調査可能業務の内容

・調査費用

・契約の解除方法

・調査資料の処分方法

●まとめ

興信所や探偵事務所は普段の生活に関わることが滅多に無いため、情報を得られないことで適正な業者の見極めができませんでした。それを利用して、悪質業者の横行していた面がありますが、探偵業法の設立によって悪質な行為が激減してきています。

また、現在はインターネット上に興信所のホームページが数多く掲載されるようにな り、事前に業務内容や調査費用の妥当性を確認できるようになっています。

スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加