蛍に酔いしれた優しい夜のひと時に思うこと

6月に入り、天候も不順な日々が続いています。
蒸し暑い夜と涼しい夜も交互に訪れ、身体には少し辛い時期だと思います。部屋の中では除湿器がフル稼働していますが、まだエアコンを使うには少し早いようです。
梅雨入り宣言も発表されたこの6月の楽しみと言えば、何といっても蛍です。
心地良い風が吹く夜には、飛び交い始めた蛍を見ながら夕涼みをしたくなります。
ところが、蛍はというと心地よく涼しい夜にはあまり活動しません。蛍が綺麗に飛び交うのは、雨上りの蒸し暑い夜のことです。

さて、この蒸し暑さにも負けずに月明かりをたよりに出かけます。
田植えをされて水をが張られた水田の畦道を通り、川沿いまで行き、暗闇を見つめますと1匹の蛍の灯りを見つけます。
1匹見つけると目が闇に慣れてきて、2匹、3匹と次々に灯りは増えて、やがて自分が蛍の乱舞に包まれていることに気付きます。

日常のしがらみやストレスを抱えてはいるものの、蛍の灯りに包まれるとやがて日常の出来事はすべて消えてしまい夢中で眺めます。
出会ったのは平家蛍のようです。源氏蛍は1回灯りを灯すと光が尾を引いて見えるようですが、平家蛍でも十分に光の帯が見えるほどです。
頭の中は空白で、気が付けば2時間も眺めていました。
そして蚊にも咬まれたようで、手が痒いことにも気づきました。
でも時間にも痒さにも気づかないくらいに蛍の乱舞に見とれていたようです。
正確に言うと、見とれていたのではなく心を奪われ、自分も蛍と一緒に暗闇を飛び回っていたのかもしれません。

子供にせがまれて、蛍を捕まえていく親御さんもおられます。
だけど、蛍の命は短いのです。この自然の中の川にいて、水田にいてこそ、あんなにも美しくそして儚く光るのでしょう。
だから蛍に出会える時期もほんの僅かです。

人の一生から比べれば、あまりにも短く儚いのです。ただ、人の一生も自然の営みから見れば短く、儚いものでしょう。
そんな6月の夜をあまりにも華麗に飛び交う蛍に人の世の幻影をみたような気分で家路についた夜でした。
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